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吉野を愛し、吉野と歩み続けて109年

更新日:8月27日




どっしりとした旨味、じわりと広がる酸味。自然酵母と大地からのエネルギーを感じるような酒「花巴」を世に放った美吉野醸造。国内外問わず飲みやすい酒がもてはやされる昨今において、唯一無二の存在感を放っています。花巴は3種の方法で製造しそれぞれの個性で私達を楽しませてくれていますが、現在の方法に行き着いたのは、現蔵元杜氏・橋本晃明さんが引き継いだ2010年になってからでした。


Q.なぜ独特の作り方をしておられるのでしょうか?


酵母菌を添加せず、高温多湿な地域の吉野の蔵につく酵母菌のみ使用する無添加酵母手法を行っています。酒造りのやり方を考えたとき、まずは、吉野という土地が経てきた歴史を解釈することから始めました。

奈良県吉野郡は豊かな自然があり約500年前から林業が盛んな地域です。吉野杉は樽や桶に使用され酒造りの発展に大きく貢献してきました。だから美吉野醸造で名産の吉野杉桶を使った酒造りをするというだけでは違うと思ったんです。米どころではないこの地で、酒造りをする理由。吉野の歴史や環境をそのまま商品に表現するような酒造りをしたいと思うようになりました。



Q.この作り方だと毎年味が大きく変化するのではないですか?


BYによる味の違いはあれど、花巴が持つ雰囲気は安定していると感じています。

弊蔵が考える日本酒づくりは、酵母菌の種類や米の種類や磨きよりも、

①製造手法(速醸/山廃/水酛)

②タンクの種類(ホーロー/サーマルタンク/木桶)

③気候

の3つの組み合わせが味の決め手になります。無添加酵母で全て製造していますが、①②③の組み合わせを変えて違いを表現しています。酵母無添加をはじめた2005年から今までの統計上、造り方によってどんなものが醸されるか蓄積できています。味の違いによって商品を分けるのではなくて、造り方によって分けているので全体として美吉野醸造らしさというのは変わらないし、そういう酒でありたいと思います。

例えば、好きな山に毎年登っても、春夏秋冬やその年の植物の成長で見える景気が異なるけどその雰囲気が好きだから登りますよね。僕たちが目指すお酒もそこと一緒です。お酒の雰囲気は変わらずに、毎年新しい味わいに出会えますよ。


Q.速醸/山廃/水酛 それぞれの手法で作られているのはなぜなのですか?



一番出したいのは生きている酵母を感じられる「酸」なんです。酸の出方はこの蔵の環境で造り出されるものではなく、育て方によって異なった味が出るというのを商品特性に組み込んで日本酒の楽しみの幅を知ってもらうために3つの造り方をしています。


速醸は乳酸菌を添加しますので、乳酸菌による複雑味が少なくマスキングされるものがないのでスッキリした味になります。山廃は複雑味があってジューシーで柑橘、熟成をかけると出汁や醤油、椎茸のような味になる。水酛はチーズとジビエを連想させる野性味のある味。

それぞれの造り方で共通するのは、酵母菌を極限状態まで強く育てることで、生き残った強い菌がその環境だからこその酸味を出してくれます。



Q.米どころではないということですが、酒米はどこで生産してもらっているのですか?


地元の生産者との連携による契約栽培米を全量使用しております。米どころではない、奈良県南部は地域によって農業スタイルは様々です。その農業のあり方の中で米の品種や品質の安定を最優先するのではなく継続できることを最優先に、その地域・生産者・年度の違いを認めながらお酒造りによって一つの雰囲気にまとめ上げております。それが山間部にある酒蔵のあり方なんだと思っています。


Q.「HANATOMOE」シリーズはどのような商品でしょう?



より能動的・探求心のある方向けに考えました。今まで届いていなかった人にも興味を持ってもらえるような酒を目指しています。日本酒・ビール・ワインという税本上の垣根を意識せず、お米の発酵というシンプルで複雑な視点を持ち自由度の高いお酒を醸していきたいと思っています。


Q.木桶仕込みが60年ぶりに復活したと聞きました。



「百年杉」という銘柄で出しました。この取り組みは、主産業が林業である吉野の地から伝えるという事を「山守」「製材業」「樽丸業」「醸造業」のつながりの中でできた商品です。香りや色といった環境要因の特徴もありますが、吉野杉の最大の特徴はその植林方法でこそ出せます。そのことを知っていただく機会となり、杉の木を見ただけではわからない“良さ”を吉野杉の発展した原点である桶や樽でお酒に醸すことで、“良さ”の再発見していただけるプロジェクトとして吉野の地から、地域の連携で出来上がったお酒が「百年杉 木桶仕込み」です。日本酒を通じて吉野杉の良さ=吉野という地域の良さをお伝えできれば幸いです。



吉野へ行くと、地元の方に当たり前のように「花巴」を薦められ、自慢のお酒なのだと教えてもらえます。地域と共に100年以上歩んできた歴史が花開き、美吉野醸造のお酒に詰まっています。


【基本情報】

美吉野醸造株式会社

URL https://www.hanatomoe.com/


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