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既存に囚われず、新しいことも前向きに楽しむ英君酒造

更新日:8月27日



明治14年(1881年)、「品質第一」を掲げ、少人数ながら手造りする事を大切に望月酒造店として創業したのが現在の英君酒造。歌川広重の『東海道五十三次』にも描かれた、富士山と駿河湾の絶景で知られる、静岡県由比地区にあり、桜えびが水揚げされる由比港から車で10分ほどの距離にあります。


Q.主要商品の「英君」について教えて下さい。


爽やかでキレが良く、優しい味と香りが特徴の食中酒です。数年前から酵母を静岡県開発のオリジナル清酒酵母「静岡酵母」に切り替えました(4種類を使い分け)。静岡酵母を使用すると香りが控え目なため、利き酒等お酒単品で呑むと地味な印象になりやすいのですが、雑味がなく透明感ある味わいが、どんな食事とも馴染み、飲み飽きしない良さがあります。港町の地元で豊富に採れる魚介類との相性もばっちりで互いを引き立て合う味わいです。女性で例えるとバリキャリタイプではなく清楚なお嬢さんといった感じですかね。

Q.最近は新しいタイプのお酒も開発されていますね?

「EIKUN holic(エイクン ホリック)」ですね。 「英君」らしさ(爽やかで透明感のある飲み口)を残すと言う事も大切していますが、枝を伸ばしていきたいと考えています。 「今までの日本酒の概念を覆す酒を醸したい」と言う想いから、日本酒の新しい香り“4MMP(ソーヴィニヨンプランワインから発見されたライチ、カシス、マスカット様の香り。近年日本酒からもその要素が発見された)”に着目し、東京恵比寿にある日本酒バー GEM by motoの千葉麻里絵さん全面協力のもと開発されました。 契約農家に種籾から栽培してもらっている「みずほのか」を使用しており、絶妙なバランスの香りに仕上がっています。白ワインと日本酒の合いの子のような味わいが特徴です。千葉さんに何に合うか聞いてみたらドライマンゴーとのペアリングはどうか、と言われました。 フランスでの鑑評会「クラマスター」において「EIKUNholic」が純米酒部門でプラチナ賞を受賞したりととても評判が良いのですが、まだまだ製造量が少ないので徐々に増やしていきたいと思っています。


Q.インパクトのあるラベルが印象的ですが、こちらはどの様に生まれたのでしょうか?

「革新的で幅広い世代に向けて発信できるように」と、日本酒でもワインでも無いようなアメリカンコミック風の斬新なデザインになりました。自分たちからは絶対に出てこないアイデアなので、最初は驚きましたよ。いわゆる酒造りにどっぷり浸かっているのではない外部の方の発想はとても刺激になります。

Q.日本酒は保守的なイメージが強いですが英君酒造さんからは新しいことにも前向きな姿勢が感じられます。

トップダウンではなく現場や若手からの意見、また外部からの情報をもとに動くことが多いです。採算も大事ですが、おもしろそう・やってみたいと言う気持ちを大切にしたいです。 蔵元発信で酒を売るだけでなく、飲食店さん等からの依頼を受けてカタチにしていくのは、自分たちだけでは思いつかなかった新しい日本酒造りができるし、スキル向上にもつながります。少数精鋭だからこそ出来ることだとも思っています。 最近ではクラウドファンディングを使った取組もしています。静岡県の天竜の山奥にある未成線トンネルを再利用した天然のレンタルワインセラーで「英君」を熟成させたり、「英君」とは正反対のタイプの濁り酒「暴君」を数量限定醸造したり。現在は11月23日の日本の収穫祭「新嘗祭(にいなめさい)」を記念したオリジナル酒に向けて動いています。


Q.様々な取り組みをされていく中で大切にされていることはありますか?

食事の多様化がある様に、お酒を提供する場も多様化していますが、全てに合わせていこうとするのでは無く、蔵元ごとにスタイルを造っていく事が大切だと思っています。 皆に呑んで欲しいと言うよりは、好みに合う方に、またはこんな食と一緒に、、と言う風に提案していきたいと考えています。

これまで営業・販売活動に関しては卸先である酒販店や飲食店任せでしたが、コロナ禍を機に転換を図ろうとする同社。今まで以上にその酒蔵にしか生み出せない味を模索し、飲み手が楽しめる要素を織り交ぜて。今日本酒業界は、そうした過渡期になっていると感じられます。 【基本情報】 英君酒造 URL:https://eikun.co.jp/

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