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300年の歴史!自然栽培米に拘った仁井田本家


仁井田本家は福島県郡山市田村町で300年の長きに渡り酒を造り続ける蔵元です。全ての酒は無農薬・無化学肥料の自然米と、天然水だけで造られています。代表作は50年以上作り続けている「しぜんしゅ」と、現18代目当主の仁井田さんが造られた新しい自然派由来のお酒「穏(おだやか)」です。「しぜんしゅ」は、意外なほどサラッとした口当たりの奥に濃密な酸味が感じられじっくり楽しみたい酒。蔵元杜氏の仁井田穏彦(やすひこ)さんにお話を伺いました


Q.『しぜんしゅ』と『穏』とはどんなお酒ですか?


私の父である17代目蔵元が昭和42年に純米酒『自然酒』作りを始めました。自然農法という自然の力だけで作物を育てることを勧めた岡田茂吉先生からその御神酒としてふさわしい酒を、と依頼を受け、以来50年以上作り続けています。『しぜんしゅ』は自然栽培の米、天然水、生酛仕込みのお酒です。ふくよかな旨みをもつ、とろりとした甘みが口の中に広がります。もっと多くの方に知ってほしくてラベルを『自然酒』から、日本文化のひらがなで書いた優しいデザインの『しぜんしゅ』に一新しました。


『穏』は仁井田本家300周年を記念して平成6年にリリースしました。オーガニックのお米、天然水、自然派白糀酒母仕込みで作るモダンな自然酒です。瑞々しくきれいな甘みと、キレの良さを持つ、穏やかな食中酒です。仁井田本家の歴代蔵元達はその名に穏の文字を受け継いでおり、18代目の私も穏彦と命名されました。みなさまの日々がおだやかでありますようにと願いを込め、歴代の一文字『穏』にちなんだ仁井田本家の総集のお酒を作りました。


自然米100%・天然水100%・純米酒100%にこだわり抜いた自然派のお酒を老若男女全ての方に味わってもらいたいですね。


Q.「しぜんしゅ」が平仮名になって親しみが強くなった印象ですが、周りからはどんな反応でしたか?


発売されてから50年、お酒をとりまく環境も変わって来ました。海外の方に紹介する機会もできてきましたし、女性の方がお酒を親しむことも増えていると思います。日本古来の言語である「ひらがな」を使おうと思ったのと女性らしさも感じられる。また再利用可能なボトルにすることも仁井田の考え方に即していると、ラベルの紙やインクもできるだけ少なくしています。年配の方からは結構不評なんですけど、「ひと目見たら仁井田のって分かるから嬉しい」という声も頂いています。


Q.自然米100%で造るとはどういうことでしょう


米は無農薬・無化学肥料で作っています。この手法でお米を作ると育てるのには手間がかかり収穫量も限られますが、協力農家の皆さんが力を尽くしてくださっています。しかし、悲しいことに米作りだけでは食べていけず、これからの時代、専業農家よりも兼業農家が増えていくことでしょう。有機肥料であれば兼業で作ることは可能ですが、無農薬は兼業だと難しいです。それを見越して、平成6年から自社で、稲わら・もみ殻・畔の草といった田んぼから採れたものだけを田んぼに返す「無肥料自然栽培」を取り入れたお米作りを行っています。


私達には夢があって、田村町で作った米で自給自足の酒造りを行いたいと思っています。現在は自社米の活用割合は10%程度で9割近くは自然農法をやってくれる契約農家から購入しています。それを自然栽培の田んぼを10倍に増やし自社米の活用割合を100%にして村中の田んぼが自然栽培で米が作れたら良いと思っています。今でも毎年鴨がやってきて、雑草や害虫を食べてくれる。そんな風景を残したいですね。


豊かな自然と美味しいお酒を求めて多くの方が田村町に訪れるような町に活気を湧かせる蔵になりたいですね。


Q. 300年続く伝統的な蔵でありつつ、多くの新しいことに挑戦されていますね。


私達の使命は日本の田んぼを守る酒蔵になることです。その為に応援して頂ける方々と一緒に、田植え・手入れ・稲刈り・酒のレベル張りをして一からお酒を完成させる「田んぼのがっこう」も開催しています。今は新型コロナの影響もありイベントは出来ていませんが、田んぼの学校PTAというサポーターさんから田んぼの維持費の支援金を集めたり、サブスクリプションとして販売しているお酒以外にも試作品も楽しめる取り組みを行っています。自社製品の利益をよりも、頂いたお金で応援して下さる方々と共に、自然栽培の田んぼを広めて夢に近づけるよう一歩一歩歩んでいます。

最近は生酛より更に古い手法の水酛でお酒を作りました。自然由来造りの場合、気温が高いと水元の方が美味しくなるそうなのでチャレンジをしてみました。Youtubeで水酛作成中の動画を公開していますよ。


Q木樽づくりにも挑戦されているのですか?


祖父の時代に植えた80年前の杉が大きくなりました。2年前に伐採・自然乾燥・製材し、今年8月に組み上げ木樽が完成する予定です。米・水・木・菌全てを自社で採取した酒造りを秋から開始します。

コロナ禍なので木樽イベントは検討中ですが、開催する際は皆さんぜひお越しください。

また、オンラインで決定している「にいだの感謝祭」蔵見学・福袋やスイーツの販売を10月3日(土)インスタライブで開催際します。ぜひ、遊びに来られて下さい。


夢を伝え続けることが大事。発信していくことで周りに届き、自分1人だけの力でなくて実現していくからと仁井田さんは語ります。

一時のプロジェクトではなく、これまで積み上げてきたことのすべてが込められた酒。味わった人なら応援したくなるのではないでしょうか。田んぼが広がり自然豊かな田舎田村町になるのもそう遠くない未来かもしれません。


【基本情報】

有限会社 仁井田本家

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