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約150年の歴史を持つ老舗蔵/本坊酒造

明治5年(1872年)に鹿児島で創業した本坊酒造。

複数の製造所が各地にあり焼酎のほかウイスキーやブランデー、ワイン、梅酒、スピリッツ等、それぞれの地域にあった美味しいお酒を造り続け、地元のみならず日本中で愛されています。

その酒造が日本を代表する蒸留酒である焼酎の伝統技術、多様な自然環境により育まれるボタニカルを活かし、鹿児島の伝統技術と自然を表現した「Japanese GIN 和美人」を2017年に発売。蒸溜所のある鹿児島県南さつま市加世田津貫で収穫した金柑(きんかん)の果実や、けせん(ニッケイ)の葉をはじめ、柚子、檸檬、辺塚橙、緑茶、生姜、月桃、紫蘇といった鹿児島各地で収穫された9種のボタニカルと、ジンの核ともいえるジュニパーベリーを独自製法で仕込み、複雑なフレーバーで多様な自然を表現しています。今回は「和美人」の誕生や魅力をジンの製造に携わる加治佐健太郎氏にお話を伺いました。


Q.本坊酒造ではどの様な経緯でスピリッツへ展開することになったのでしょうか。

鹿児島でウイスキー蒸溜所を新設する話が出た頃、世界的に通用するスピリッツの分野に挑戦して行こうと取り組み始め、最初はラムでもジンでもウォッカでもない芋焼酎がベースの「光遠(こうおん)スピリッツ」を開発したのがきっかけです。独自性のある新しいスピリッツを目指す過程で誕生しました。これが大もととなり、和美人にも受け継がれています。

Q.具体的にはどの様なところが和美人と共通していますか。

地元の素材を使ったお酒というところが共通しています。


Q.光遠スピリッツの時はベースが芋焼酎ですが、ベースアルコールを変更することでどの様な味の特徴になるのでしょうか。

焼酎は日本人に馴染みがあるので、飲んだ時に原料別に芋や米、麦といった風味を感じてもらえ、違和感無く受け入れてもらえたり、食中酒として受け入れやすい親しみやすさが有るかと思います。

日本では「ジンはこういう味」というイメージがまだ浸透していない時だったので、本坊酒造としての特色を出す為にベースアルコールの原料に米を取り入れた結果、他の原料のニュアンスも感じてもらえる入りやすさの有るジンに仕上がりました。海外のアルコールは鼻をつんとさす様な精製された無味無臭のアルコールを使っている事が多く、ボタニカルをダイレクトに感じますが、お米も使う事で丸みが出てまろやかな仕上がりになっています。

Q.使用しているボタニカルの素材はどの様にして辿り着いたのでしょうか。

鹿児島は離島も多く色々な素材に恵まれており、品質の良いものを見つけやすい利点があります。もともと付き合いがある農家さんなど様々なご縁がある中で、最適な品質の良い素材を選ぶ事が出来ました。


Q.月桃やニッキ、紫蘇が特徴的ですがどの様に設計されたのですか。

ジンはスパイス、ハーブ、シトラスの組み合わせで出来ていると考えています。その中で、鹿児島だったらどんな素材が有るかを考えた時、ニッキ(けせん)はジンでよく使われるシナモンの系統であることや伝統的なスピリッツに使用されているボタニカルとマッチするという点もあって選んでいきました。設計というよりは実際に蒸留してみてイメージに近づけていった感じです。

Q.造り手としてどんな所に焼酎との違い、面白さを感じますか。

使える素材の多さが焼酎とは異なり何通り使っても良い所、制限が無いのがスピリッツの中ではジンだけなので、焼酎だけを造っていたらまず浮かばなかった様なアイディアが生まれたり、思いもしなかった事が可能になったりと、自分の中で知見が広がった事が非常に面白いですね。

素材に関しては今も探求中です。まだまだ自分が知らない素材があると思うので、新しい素材を探していって、それが供給量等も含めて商品化に繋がる素材になる時は造り手としての喜びです。

Q.「和美人」という名前にもある様に、ジャパニーズクラフトジンとして日本らしさを出していきたいという所が有りますか。

海外でメジャーなレモンやシナモン等の素材も使用していますが、柚子や緑茶等の素材で日本らしさを出していきたいと思っています。「和美人」という名前は「和」「美」「ジン」と日本らしさに言葉遊びも含まれています。同時にこのスピリッツを始めた時の拘りとして「鹿児島でしか造れない」というのがあったので、それはこれからも守っていきたいです。


Q.ストレートだけでなく割った時の事も考えて設計されているのでしょうか。

創っている段階で割った時の傾向をフィードバックして設計している部分もあるので、ストレートだけではなくいろんなカクテルに使用してもらい、個性を楽しんで欲しいです。

Q.2021年2月のリニューアル内容と今後の予定について教えていただけますか。

和美人発売後に試行錯誤を続けて来た中で、世界品質とは何かを考え一つの着地点が見つかりました。今回コリアンダーシードを新たに加えているのですが、この素材はジンとしては定番中の定番です。和美人発売当初は国産のコリアンダーシードが無かったのですが、屋久島のパクチーの種を農家さんから分けて頂ける事になり採用に至りました。(※現在は、国産・海外産のものの両方を併用)今後もさらなるブラッシュアップに挑戦していきたいです。


独自のスピリッツ開発を進める本坊酒造。郷土愛に根ざす精神を掲げながら、これからどの様に日本のクラフトジンを世界に届けていくのか、今後の展開に注目です。

【基本情報】

本坊酒造



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