光武酒造場は1688年に佐賀県鹿島市で誕生して以来、333年以上日本酒を造り続けています。「伝統の中の革新」を合言葉に、2000年以降に焼酎やジンを製造開始、また北斗の拳など多数のアニメ商品ともコラボレーションし、時代の一歩先を歩み続ける酒造メーカー。光武博之社長にお話しを伺いました。
Q酒造メーカーとしてどんな酒造りを目指されていますか?
僕らは『晩酌で気軽に飲める酒・プチ贅沢を味わえるようなお酒』を造っています。気軽に手に入るけれど、プレミアムな味わいの商品づくり。その日のご褒美として、例えばご夫婦でお酒を飲みながらゆったりした時間を過ごしてもらえたら嬉しいですね。
Q昔から造り続けられてきた日本酒だけでなく、焼酎やジンの製造を始められたのはなぜですか?
昔、佐賀県には日本の中でも数多くの清酒蔵がありました。佐賀県全域で米の生産が多かったので、県をあげて日本酒製造が行われるようになりました。しかし、僕らの町でも13蔵あった酒蔵が、今では2蔵しか残っていません。健康志向は良いことですが、酒造業界全体として年々出荷量が減少しています。また、今の時代は飲み手の傾向として、飲みやすいお酒とマニアックなお酒の二極化が進んでいると感じています。 僕らは「時流を掴む」ことを常に意識しています。 日本全国に名を広げる為に、20年前に焼酎を販売開始しました。年に1回しか作れない日本酒に比べて、焼酎は増産しやすく安定供給が可能だからです。 世界を見据えて、昨年ジンの販売を開始しました。日本酒や焼酎よりもビールと同等の認知度があるスピリッツで、世界に通用する酒造りを始めました。
Q おもてなしセレクション2021で金賞を受賞され、世界に広めたい日本の商品に認定された「Japanese GIN 赤鳥居」の特徴を教えて下さい。
地元の佐賀県の素材を活用した日本らしさを感じられる2種類のジンです。よく驚かれるのですが、有明海の海苔や牡蠣殻や鹿島市の杉の木をボタニカル素材として活用しています。 海外の方がこのジンを通じて、日本らしさを体感できるように設計しました。洋食と共に飲んで頂きたいですね。
Q「Japanese GIN 赤鳥居」を造る中で試行錯誤された所はどういうものでしたか?
沢山ありますよ。元々は焼酎をベースにしたジンを検討していましたが、どうしても焼酎を活用すると味が強く出てジンの味から遠ざかってしまいます。原料アルコールにすることによってボタニカル=杉の木の特性が強調される、納得行く味になりました。また、有明海の素材を活用することは決まってきましたが、適した素材がすぐに見つからずムツゴロウやエビの殻など色々試行錯誤しましたね。また、全ての素材を同時に漬け込むと味が渋くなってしますので個別に漬け込んでいます。特に杉は漬け込むとかなり濃くでるので1日だけ漬けます。
Q「Japanese GIN 赤鳥居」は冬も楽しめると小耳に挟んだのですが?
これから寒くなる時期は、ぜひジンをお湯割りで飲んでみて下さい。割り方は6:4や5:5でも、更に薄めて2:8でもご自由に呑まれて下さい。 お湯で割ることで、香りの立ち方が更に良くなり、甘味が旨味に変化します。アッ!と驚くような味わいと出会えるのでこの冬に是非おススメです。
Q今後はどのような活動を考えられていますか?
評価を頂いたジンを日本から世界に広めて行きたいですね。ジンを通じてお酒だけでなく日本の発酵文化も世界に広めていきたいです。 僕らの地元佐賀県鹿島市(肥前浜宿)では伝統的な発酵文化が薫る町として、町全体で発酵文化の様々なプロジェクトを行っています。いつか遊びに来られて下さい。僕らの地元の田舎ならづけ・クリームチーズ粕漬・大根漬けはジンのつまみにとても合いますよ。 お酒が世界に広がって、地元の町や日本の文化を多くの方に広めていきたいですね。
時流を的確に掴み、一足先に新しい感覚を味わえる商品を産み出す光武酒造場。 世界中の人達が光武酒造場のお酒を飲みながら晩酌を楽しむ姿を見るのはそう遠くない未来かもしれませんね。アッと驚く1杯の「Japanese GIN 赤鳥居」を味わってみませんか?
【基本情報】 合資会社 光武酒造場 URL http://www.kinpa.jp/
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