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470年の伝統から次の500年に向けて。伊丹から発信する醸造酒/小西酒造

小西酒造は兵庫県伊丹市で、1550年に創業した470年続く酒蔵です。

酒と言えばどぶろく(「濁り酒」)しかなかった時代に、麹造りの麹米ともろみの掛米両方に精白米を用いる「諸白づくり」の製法を取り、澄んだ「清酒」を生み出した「清酒発祥の地・伊丹」。この製法により伊丹の酒は、遠く離れた江戸でも特別な存在でした。

この日本酒造りの歴史や文化の物語が『「伊丹諸白」と「灘の生一本」下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷』として、令和 2年度の『日本遺産』に登録されました。

小西酒造は「伊丹諸白」の技術に、現在の技術を加えた清酒造りを始め、ベルギー産ビールの輸入販売、自社製造のクラフトビールなど数多くの酒類を展開します。

今回は杜氏の佐野さん、総務財務部の山口さん、マーケティング部の滝本さんにお話を伺いました。

Q 創業から470年、お客様に愛されてきた秘訣は何ですか?


私達の企業理念は「不易流行」です。意味は「つねに新しさを求めて挑戦していくことの中にこそ、永遠に変わらない本質がある」というもの。つまり、その時代にあった新しい未知の領域のお酒を産み出して行くことと、今まで歩んできた歴史あるお酒を作り続けることの2つの柱があります。

従業員一同この信念の下に、現代のお客様の食卓をより豊かにするにはどうすれば良いか日々思考錯誤しています。

これまで日本酒は60代以上の方に多く飲まれていると言われてきました。「白雪 大吟醸生原酒 氷温熟成」では常温では熟成が進みすぎるため氷温下で酒を熟成させることで、まろやかな口当たりでフレッシュな味わいになります。若い世代の方にも楽しんでいただける味わいになったと思います。


Q 日本酒をテーマとしてストーリーが日本遺産に登録され、世間からの注目が集まるだけでなく、国際的な品評会でも受賞されたそうですね。


世界各国の方から評価を頂けたことは大変光栄です。

「江戸元禄の酒」がイギリスのIWC、フランスのKura Masterを受賞しました。「江戸元禄の酒」はた小西酒造の酒造りの記録を残した酒永代覚帖に記載された1702年当時の製造方法を忠実に再現したお酒です。当時は足踏み精米のため88%の精米と米の量よりも仕込み水の量は現在の約半分で、木樽で生酛仕込みで製造します。江戸時代と同じ手法で製造しているので、数ある商品の中でもかなり手間がかかりますね。日本料理に合うのはもちろんですが、甘味と酸味があるお酒ですのでアイスクリームにかけて召し上がる方もいますよ。

また、「超特撰 白雪伊丹諸白本醸造」がIWC2021の本醸造部門で最高位のトロフィーを受賞いたしました。現代のお酒造りにおいては、一般的となっている「諸白仕込み」ですが、江戸時代では驚異的な技術であり、江戸で人気が高まり全国に広がったと聞いています。この江戸時代から続く技術に現代の新しい技術やお客様の嗜好に合わせてお酒造りを続けている結果、世界でもご評価いただけたのではないかと思っています。



Q 蔵元として長い歴史がありながら、なぜビール販売も行われるようになりましたか?


35年前に伊丹市とベルギーのハッセルト市が姉妹都市になりました。経済交流と代表の小西が海外に留学していたこともあり、海外のビールの美味しさを経験していたため、ベルギービールの輸入販売を開始しました。九州ほどの大きさの国に1,000近く醸造所があり味を競い合っているという環境も日本の酒づくりに共通するものを感じたのだと聞いています。今でこそベルギービールも取り沙汰されるようになりましたが、当時日本のビールはピルスナーばかり。味差が大きく、10年かけて徐々に好まれるようになっていきましたね。

26年前に白雪ブルワリービレッジ長寿蔵・ミュージアムを設立したことがきっかけで「ユニークな創造醸造メーカー」として日本酒と同じ醸造酒であるビールも含め食を豊かにして日本酒造りで培った発酵技術を活用しクラフトビール製造を始めました。


Q 日本酒蔵という特徴を活かし清酒酵母を使われるなど面白い取り組みをされていますね。


醸造酒の中ではやはり日本酒が最も技術力のいる酒という自負があります。麹を育てながら酵母で発酵させる並行複発酵の技術もですが、その上で必要となってくる衛生管理をビールにも応用させています。例えば「幸民麦酒」という江戸時代日本で初めて醸造されたビールを再現したビールでは清酒酵母を使っています。

ビールは一般的にはお寿司と合いにくいと言われているのですが、米を使ったビールは味がまろやかになり、魚とも美味しくいただけますよ。


Q 2020年に発売された「ITAMIビール」、改めて伊丹の地から発信していく原点回帰となりますか?


改めて伊丹から世界に向けて発信していくという想いを込めています。

ベルギービールの醸造技術に、発酵など日本酒造りの技を加えた酒蔵ならではのビール、そして小西酒造にしか造れない「JAPAN ALE」を目指してビール製造を行っています。その特徴は、通常、ビールの香りは麦芽とホップによってつくり出されるのに対し、発酵によって生まれる香りを大切にしていること。そうすることで、のど越しのキレだけでなく、余韻のある味わいに仕上がっています。

「ITAMIビール」はボトルコンディションといって瓶内で発酵しますので、常温で保存が可能です。冷蔵商品に比べお客様の手に届くまで味の品質が保たれます。今後は日本酒だけでなく、ビールも世界で海外で評価されるようになりたいですね。

Q 今後、どのようなことを目標にされていますか?


今まで470年間受け継いできた歴史を、次の500年に向けて「不易流行」の精神で、時代に合う商品を作り続け、お客様の食卓を豊かにし続けたいですね。また、日本遺産から世界遺産にと多くの声を受け認定に向けて活動しています。日本文化・伝統産業でもある日本酒が日本国内のみならず世界に羽ばたくきっかけになるためにも、私達で是非成就させたいですね。


【基本情報】

小西酒造株式会社

URL https://www.konishi.co.jp/


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