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焼酎の新たな可能性を目指して/大山甚七商店

芋焼酎のメッカである鹿児島。その中でも砂風呂で有名な観光地・指宿市の鹿児島湾の目の前で焼酎を造りを続けてきた大山甚七商店。海岸線沿いを指宿・枕崎線が走り、蔵からも宮ヶ浜の海岸を臨むことができます。代々受け継がれて来た伝統の味を守りつつも、近年ではシックな大人な雰囲気のボトルが目を引くクラフトジン「JIN7」や、伊良コーラ酎など、革新的な商品にも挑戦しています。専務の大山陽平さんにお話を伺いました。 大山さんは東京農大醸造科卒業後、外で勉強するには今しかないと、一度は東京の酒類商社で営業を経験、その後2017年に蔵へ戻ってきました。



Q.大山甚七商店について教えて下さい


146年前、明治8年(1875年)に「大山呉服店」として創業、当初は呉服と布団などを取り扱う傍ら、「富久泉」という銘柄の芋焼酎の製造販売を行っており、酒類業より商いが中心でした。当時から現在に至るまで原料と製法にこだわっており、原料は地下から湧き出る美味しい水に、南薩摩の芋と国産米を使用。製法は伝統的な「甕壺(かめつぼ)仕込み」。今はもう造り手がいなくなってしまった和甕(日本製の甕壺)を大事に継承し、5名で手造りしています。


Q.やはり焼酎も水が大事なんですね


麹を作る時、芋を洗う時、加水時等、様々なシーンで水を使用するので焼酎作りにおいても水はとても大事です。同じ指宿市には1日10万トン湧出する唐船峡京田湧水を活かした【唐船峡そうめん流し】があるくらい、水質が本当に良いんですよ。



Q.鹿児島鑑評会などで評価を受けていますが、それに甘んじずクラフトジンへ展開された理

由はありますか?


コロナ禍以前から全国的に本格焼酎の出荷量が下降気味になっていました。焼酎はどうしても「お父さんのお酒」というイメージが拭えません。焼酎を使ったクラフトジンを造ることで、若い方や海外の方に手にとって頂けたら、そしてゆくゆくは焼酎を飲んで頂けたらという想いから取り掛かりました。各社クラフトジンは増えてきていますが、旅行も出来ない時なのでそれぞれの地元色をお酒を呑むことで感じてもらえたらと思います。


Q.クラフトジン造りにおいて難しかった部分はありますか?


蒸留の仕方ですね。焼酎と理屈は同じであれ、実際造るとなると全く違いました。参考に他社へお話を伺ったりはしましたが、基本的には自分たちで模索しながらトライアル&エラーで取り組んでいます。


Q.ジンに使用する焼酎で工夫した部分はありますか?


大きい会社は麦や米を併用していますが当社は芋だけです。芋の香りがありすぎるとジンにとってはネガティブな要素になりうるので、再蒸留して味わい風味をジン用に調整しアルコール度数を70%弱まで持っていっています。そうする事で漬け込んだボタニカルも抽出しやすくなります。


Q.ハーブや柑橘の調達先開拓は新たにされたのですか?

はい、地元のもので探したところ、幸いなことに香り造り一筋80年以上、日本最古のハーブ農園「開聞山麓香料園」さんのハーブを使わせて頂けることになりました。そこでしか栽培されていない希少ハーブ「芳樟(ほうしょう)」や、レモングラス、ミント、ローズゼラニューム、メキシカンマリーゴールド等、上質な朝どれハーブを使用しています。地元の良いものを盛り込むことで良い相乗効果が生まれると思っています。「開聞山麓香料園」さんのファンの方がお酒を飲んでくださるきっかけに、またお酒を飲まれる方が「開聞山麓香料園」さんのハーブの事を知るきっかけが出来ています。


Q.現在クラウドファウンディング中の「JIN7 limited」について教えて下さい


創業146年目の挑戦として、7月に入ったハイブリット式の新蒸溜機で記念に造りたいと考えられたのが、パッションフルーツをキーに21種類の鹿児島県産のボタニカルで造るトロピカルなクラフトジン。 スターフルーツ、ドラゴンフルーツの花、すもも、ブルーベリー、タヒチライム、西瓜、胡瓜、トマト、ししとう、生姜、大葉等、夏らしい組み合わせで今までの00、01とはまた違った味わいです。



Q.ジンのラベルには焼酎とは趣の異なるデザインを採用していますね


焼酎等お酒のデザインの経験が無いデザイナーの方が良いかなと思い依頼しました。また昔呉服屋だったこともありアパレル経験のある方にお願いし、洋服の様に成分表をタグ付けにしました。


Q.カクテルの調味料ともされる“ビターズ”とはどういう商品なのでしょうか?


2018年に、クラフトジンの開発を進めていく中で、ジンや焼酎をもっと楽しんでほしいという思いから、お酒に振りかける香水 「PUSH BITTERS」の構想がうまれました。 料理等で使われているビターズはスポイト式が多いのですが、スポイトタイプは慣れていないと注ぎすぎてしまうことがあるのでプッシュ式を採用しました。家飲みでも気軽に使いやすくなっています。 「ジュニパーベリー」「緑茶」「ゆず」の3種類があり、トニックやソーダ割り、水割りなどお好きな飲み方にお好みの量をプッシュして頂くだけで、違ったフレーバーを楽しんで頂けます。 焼酎やジンの味があって、そこに自由度が増す。色んな飲み方ができるのでバーテンダーさんがお客さんの前でパフォーマンスしても面白いですし、家庭で自分でやっても楽しめる、ビジュアル的な満足度も上がり、お酒の時間に付加価値をつけられます。





Q.今後の目標はありますか?


焼酎に関しては伝統業なので奇をてらいすぎず、しっかり今までの事をやっていきながらもチャレンジしていきたいです。 スピリッツはまだ勉強中な部分もあるので、ボタニカルや蒸溜方法を模索しながらあっと驚くような話題性のある商品を造り、焼酎に還元していきたいです。



クラフトジンやお酒の香水等、新しい取り組みを続けているがそれも全ては本格焼酎の為 「焼酎の自由度が上がり、焼酎の消費拡大に繋がれば」と常に念頭にあるのは焼酎のこと。 今後大山甚七商店の焼酎がどの様な展開をしていくかも楽しみです。


【基本情報】 大山甚七商店 URL:http://www.jin7.co.jp/product.php

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