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自由な発想のジン作り/越後薬草


「ハーブの女王」ことヨモギの生産地として知られる新潟県上越市。それは名物 笹団子にも使用されているほど。越後薬草は1976年創業以来、ヨモギを原料にした健康食品を販売。新事業クラフトジン「YASO」は女性にも手に取りやすいスタイリッシュなデザインが目を引きます。SNSでも大きな話題を集め、発売後はすぐに売り切れるという状況。今回は代表の塚田和志さんに、健康食品会社がお酒を発売するに至るまでの経緯やジンへの想いを伺いました。



Q. 越後薬草がジンを発売するまでにはどんな過程がありましたか?


創業後45年間は漢方の原材料(ヨモギや高麗人参、ウコンなど)いわゆる野草類などを80種類煮だし、そのエキスに甜菜糖・黒砂糖・オリゴ糖や麹菌などを入れた植物の発酵飲料を作っていました。その過程で発酵するためにアルコールが発生していまして。アルコール発酵したものを熱と一緒に鍋に再び入れて気化させました。2018年には工程短縮のため、減圧式蒸留器を使用し始めたんです。すると、蒸留物としてスピリッツが上がってきました。飲んでみると意外に美味しかったことから、商品化への動きが始まりました。 事業を開始するも先代の急死により中途半端になってしまい、税務署に相談する機会があったんです。彼ら曰く、スピリッツの製造免許を取得すべきだと。また、既存のメーカーにアドバイザーとして付いてもらった方が良いということから、新潟県内の酒造メーカーと交渉を開始。しかし、尽くフラれてしまいました。最後の一社に断られた際に、ふと頭の中で先代から「自社販売してみたら良いのでは?」と言葉を掛けられたような感覚になり、とりあえずの精神で自社で販売する運びとなったんです。スタートとしてはネガティブ要素が強いものですね。


Q. スピリッツの製造免許を取得後、その中でジンを選ばれたのは何がきっかけだったのですか?


私は元々お酒に強い関心があるわけでもなかったんです。世界の4大スピリッツ、ジン・ウォッカ・テキーラ・ラムがある中で、どれも飲んだことがなく、どれにしようか悩んでいたんですよ。たまたま好きだった某探偵漫画で、一番強い組織として「ジン」が出てきたので選びました。もともとお酒を作っていたメーカーではなかったので、クラフトジンが流行っていたことも知らずに決めました。


Q. ラベルに大きく書かれた数字や印象的なデザインのボトル。アイデアはどういったところから来ていますか?


ラベルの数字はベースとなっている野草の数を記しています。扱う植物の数が多ければ多いほど、訴求に繋がると思ったからです。「80+51」はベーススピリッツに51種類を追加し再蒸留したことを意味しています。 ボトルの80本の線は原材料の80種類を表しています。1本ごとに線を引いているんですよ。私自身がグラフィックアートに強い興味があることから、見た目にも力を入れるようになっています。今はボトル1本で商品が選ばれる時代。パッケージが可愛いから購入した、なんて当たり前の話です。私たちは「女性が夜に飲むオシャレなドリンク」「カフェの延長線上にあるドリンク」をコンセプトにしていることもあり、ビジュアルの訴求を狙っています。



Q. 最初この商品を飲んだ時に一言では表せないボタニカルの複雑な味がしました。この味にたどり着くまでのお話を聞かせてください。


たしかに、具体的に○○の味だとは言い表せないと思います。私たちが目指しているものは「131種類の調和」なので、複雑な味わいがして正解だと思います。また、身体のためになるという文脈で提供していることも1つ留めておいていただきたいです。ジンは味と言うよりは香のお酒なので。ハーブ自体が心安らぐものでもありますからね。好きなフレグランスやアロマを選ぶように、好きな香りでジンを選んで欲しいです。


Q. なるほど。ジンが心の健康にも関わってくるということですね。ただ、飲酒と健康が必ずしも結びつかないと考えられているような気もします。塚田さんはこの点についてどのようにお考えでしょうか?


お酒と健康は対極なものだと考えられがちです。お酒を飲むにしろ、ヘルシーでメディカルで美味しいものが良いに決まっている。私たちはこのような考えも踏まえて、お酒を飲みながら健康になれるように設計しています。


Q. 毎月15日に販売されているLimited editionについてお聞きします。この商品ではキーボタニカルが変わっていくことが印象的ですね。際立たせたい個性はどのように決定されているのか気になります。


オリジナルジンは毎年変わります。2021年モデルは131種類(80+51)ですが、昨年は103(80+23)だったんです。そこにプラス1種類のボタニカルを入れて個性を出しています。使用するボタニカルは新潟の農家さんが作る美味しい素材です。これは新潟の農家の方たちを世に広めたい、盛り上げたいという思いによるもの。また、新潟以外でも自分たちが「心震えた」と感じたものであれば、キーボタニカルにすることもあります。それは、とにかく心から凄いなぁと思えるものであれば何でも良いと決めています。そのために、気になる原材料を見つけると必ず現地に行くというスタンスを取っています。ちなみに、植物以外のボタニカルを考えることもありますよ。例えば、昆虫・海産物・塩などです。




Q. クラフトシロップの販売にも面白さを感じました!作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?


きっかけはインスタグラムでのフォロワーさんの声でした。私たちのフォロワーの4割は女性で、日頃からDMやインスタライブでのコメントをいただくことが多かったんですね。「お酒が好きだけど、子どもが居て飲めない」という声が圧倒的に多くて。私たちも「お客さんとブランドとの距離を近づける」ことを大切にしているため、この声に向き合いたいと考えるようになりました。そこで、トニックシロップ・コーラシロップ・ジンジャーシロップ等のミキサーとしても利用可能な商品を製造しました。このシロップにもYASOブランドの80種類のエキスを含んでいるんです。また、お子さんが飲んでも美味しい素材(サトウダイコンやビートグラニュー糖など)を使用しているので家族で飲んでいただけますよ。




Q. 塚田さんが考えるジンの魅力は何でしょうか?


幅広くて面白いところだと思います。ジンはジュニパーベリーや大麦、ライ麦が含まれ他にいくつかの要件を満たせばジンと言えます。工夫次第では個性的なものに変身するところは本当に面白いなと感じていますね。


Q.最後に、 今後の目標についてお聞かせください。


YASOのプロジェクト目標として「新潟に居ながら世界で勝負すること」を掲げています。単に海外に進出するのではなく、海外のどこに行っても目にする商品を目指しています。来月から海外の輸出が始まります。キーボタニカルもネパールの山椒を使用するなど、材料を通してその国らしさを感じ取ってもらいたいですね。



ユニークな視点を武器に、ジンの新たなターゲット層を切り拓いている越後薬草。目標を着実に乗り越える姿には勇ましさも感じられてきます。海外の友人から「日本のYASO飲んだよ!」という言葉が掛けられる日を楽しみにしています。


【基本情報】 株式会社越後薬草 URL: https://yaso80gin.jp/

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