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豊かな自然育む与謝野町で魅せる観光と酒/与謝娘酒造

1887年から京都北部の与謝野で酒造りを始めた与謝娘酒造。江戸時代から続く木造の酒蔵は、温度・湿度において最適なコンディションを保ち、気候変化の大きい土地の酒造りを支えています。代々、蔵と住居が連結した環境で家族を中心に酒造りを行っており、昔から変わらないスタイルを守り続けています。ほっとする柔らかな味わいの中にキラリと光る個性。最近はワイン酵母の酒なども醸し、今後の展開が楽しみな注目の酒蔵さんです。 与謝娘酒造の6代目蔵元杜氏、西原司朗さんにお話を伺いました。




Q.どの様な経緯で家業を継ぐ事になったのでしょうか


4兄弟の末っ子なのですが、他の兄弟が先に就職してしまっていたので高校を上がる頃には自分が継ぐ事を決めていました。せっかく継ぐならと東京農業大学醸造科へ進み、2002年に戻ってきてからは瓶詰め作業をしたり杜氏さんから酒造りを学んだり、営業もしていました。   2011年に父が2年間の闘病の末他界、それまでは但馬や能登の杜氏の方に来て頂いてましたが、自分の代からは杜氏も兼務することになり「6代目社長兼杜氏」に。覚悟はしていましたが現実となるとやらなければならない事や責任がのしかかり、最初の1年目は記憶が無い位。ふらふらになりながらも必死で酒造りをしていました。当時婚約中だった妻にはとても支えてもらいました。今でも杜氏としてのプレッシャーはすごく感じています。


Q.現在も昔からの与謝娘らしいお酒は残っていますか


「与謝娘上撰」の松や竹がそうですね。他の商品は引き継いでから自由に造らせてもらっていて、癖が強いものよりは初めて飲んだ方でも飲みやすいお酒を造りたいと思っています。軟水を使用しているので発酵が穏やかに進み柔らかさが出るのが与謝娘酒造のお酒の特徴なのですが、造り方や酵母の種類でも飲みやすさを表現しています。


Q.自由に造っていくきっかけになった事やアイディア源になっている事はありますか


杜氏になって3年後、与謝野町の町長が若い方になった事は大きかったです。与謝野町の基幹産業である「稲作」と「丹後ちりめん」を、高齢化もある中でどうブランド化して伸ばしていくか等を話し合う会議に参加する様になったのですが、それがきっかけで町の事や酒蔵としての在り方を考える様に。 それまでお米は京都府の酒蔵組合に発注をかけて入手していたのですが、地産池消を考え2013年から地元の有機肥料で作ったコシヒカリを使う様になりました。 また、与謝野町の観光協会と繋がりが出来た事で、日本の良いものを世界に発信して行こうと活動されている「MORE THAN プロジェクト」にお声掛けをして頂き、海外へ向けての商品開発が始まりました。 他には、与謝野町の体験プログラムの一環として3年連続で酒造りに参加してくれた女性の方がいらっしゃるのですが、3年目の時に出身地奈良のお米で造りたいとお米を持参され、そのお米で酒造りをしました。 そうしたらその方がたまたま吉本興業のシャンプーハットのてつじさんとお知り合いで、、てつじさんもご自身が東大阪で作っているお米でお酒造りをしたいという事で一緒に酒造りをする様になり、今年で3年目です。造ったお酒は「米から日本酒をつくりたい」というクラウドファンディングのプロジェクトで返礼品になっています。これがきっかけで大阪の飲食店さんとも繋がりができ、お酒を取り扱ってい頂いています。



Q.有機肥料で作っているコシヒカリについて詳しく教えて下さい


与謝野町全体で自然循環型の取り組みとしてオリジナルの100%有機質肥料「京の豆っこ肥料」を作っています。おから、ミネラル豊富なイワシなどの魚介のあら、米ぬかといった天然素材を肥料化したものなのですが、そちらを使用して農家さんにコシヒカリを作ってもらっています。酒米に拘らず、農家さんが作りやすいお米を作ってもらうという事も大切だと思いコシヒカリになりました。そうは言ってもバリエーションも欲しいので、山田錦や祝(いわい)等の酒米も別に作ってもらっています。


Q.海外向けに開発した商品があると伺ったのですが


ターゲットをワインとクラフトビールの歴史があるオーストラリアに絞って開発しました。4種類試験醸造で造ったものを今もずっと造り続けていて、現在はオーストラリアだけでなく他の国にも出荷しています。

●hinemosu(終日)…日中でも飲みやすいメロンや洋梨を思わせるフルーツ系の甘い香りとスッキリした飲み口が特徴、アルコール15度

●tasogare(黄昏)…夕暮れ時をイメージ、白ワインのようにすっきりとフルーティー、フォアグラやビターなカカオなどコクのある食材とのマリアージュが抜群、アルコール15度

●sayo(小夜)…口当たり柔らかく綺麗な甘み、やや強めの酸も感じる中辛口、アルコール17度

●akatsukiyami(暁闇)…真夜中から明け方をイメージ、ワイン酵母、濃厚な口当たりでスモーキ―、アルコール11度(13度くらいの年もある)



Q.ラベルをカタカナ表記にしたのはなぜでしょうか


2012年、元グラフィックデザイナーの妻にロゴのイラストを考えてもらう際に過去のラベルを参照しました。カタカナや打ち出の小槌のアイディアは古いラベルデザインから来ています。海外に流通するラベルを考えた際、現地の方から日本ぽいデザインが良いという意見がある中で、カタカナは新鮮で良いというご意見も頂きロゴに活かしました。


Q.これからはどんなお酒造りをしていきたいですか


やはり自分自身も好きなすっきりとしたお酒ですね。純米吟醸や純米大吟醸も工夫してフルーティーさとすっきりさを磨いていきたいです。 今年は既に「このお米でお酒を造ってほしい」という持ち込み企画が5.6件あるので、それに対応していくので精一杯ですが、他にもどんどん新しい事に挑戦していきたいです。


Q.酒造り体験の受け入れをされているそうですね。見学だけでなく体験できるのは貴重ですね。


はい、現在も体験は受け入れています。じゃらんを通じて事前に予約して頂ければ私(杜氏自ら)が案内する試飲、お土産付きの酒蔵見学をして頂く事も出来ますし、ふらっと来て頂いた際も可能な限りで対応させて頂きます。体験を受け入れ始めたきっかけは、町の移住定住促進プログラムの一環だったのですが、その最初の3年間の中で「やりやすい、分かりやすい」方法を模索しました。通常は見学のみや一部の体験スタイルが多いですが、可能な限り参加して頂きたいと思い、作業工程も初めて来た方が参加できる様に見直しています。 体験する事でより思い出に残るので、思い出した時にまた寄って頂くきっかけになると良いなと思っています。



「もっとたくさんの人にお酒を楽しんでもらいたい」という6代目ご自身も大の日本酒好き。代々受け継がれた技術を生かしつつ、6代目ならではの新しい酒が広がっていくことでしょう。また体験型の酒蔵見学も機会があればぜひ参加してみて下さい。余裕がある時は与謝野町のとっておきの場所にも連れて行って頂けるとか。。


【基本情報】 与謝娘酒造 URL:http://yosamusume.com/

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