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久美浜の新鮮なミルクを届けるために/ミルク工房そら


豊かな自然に恵まれた京都・久美浜湾に位置する「ミルク工房そら」 飼料や安全管理を徹底し、愛情込めて育てたジャージー牛一頭一頭が出すミルクを、新鮮なうちに大切に使用し、商品作りをする牧場併設の工房です。生産者や自然を身近に感じられる牧場はぜひ一度訪れてみたい場所です!愛情を持って牛を育て、酪農を通して久美浜の魅力を伝える平林学さんにお話を伺いました。


Q.創業の経緯を教えて下さい

昭和23年、平林乳業として創業しずっと酪農業を営んでいました。新鮮な牛乳をもっと活かしたいと平成16年に「ミルク工房そら」をオープンし、アイスクリームやチーズ作りを始めました。 今ではジャージー牛のみを40数頭飼っています。


Q.普通の牛とジャージー牛の違いはどういう所でしょうか?

いわゆる普通の牛、というのは白黒のホルスタイン種で日本の乳牛は圧倒的にこちらがメジャーです。ジャージー牛は体格は小さいですが脂肪分が高く、ホルスタインが3.9%だったらジャージーは5%位と、牛乳の濃さが全く違います。ジャージー牛は生クリームやバター造りには向いていますが、チーズ造りには牛乳の風味を活かすのが難しく苦労しました。オープン当初はチーズ、ジェラート、ソフトクリームと少しの種類から工房を始めました。




Q.平林さんは酪農業を継ぐことに前向きだったのでしょうか?

全く継ぐ気は有りませんでした。どちらかと言うと酪農はそんなに好きでは無く、関係の無い学部に進み就職し、地元に戻ってくる気もありませんでした。 大学を卒業後、イタリアとフランスに2週間位行った際、日本で知り合ったイタリア人の方の地元に付いて行く機会がありました。日本ではそんなに良いイメージが無い酪農ですが、ヨーロッパでは酪農文化の敷居が高く、若者が地域や自分たちが生み出すものに誇りをもって、活き活きと農業・チーズ造りをしていることを体感し、酪農に対するマインドが変わりました。 「田舎というローカルな部分を見直して、日本でも同じ様に酪農の魅力を広めたい。自分が生まれ育った土地の物に誇りを持ちたい」と家業の牧場を継ぐことを決意し、戻ってきてからは現場で日々勉強しました。実際に始めてみると「牛を育て、本来の牛乳の在り方や久美浜の魅力を発信するために商品造りを続けたい」という想いが増々強くなっていきました。 そうしているうちに、人と人の巡り合わせで同じ様な想いを持っている同年代のシェフや地域のコミュニティとの繋がりが誕生し、東京のシェフと知り合って商品を扱ってもらえる様にもなりました。 ずっと酪農をしていなかった自分だからこそ、自分自身のフィルターを通して色んな人にも興味を持ってもらえる様な取り組みが出来るかなと思っています。


Q.牛乳の美味しさを伝えるために心がけていることはありますか

「美味しさ」というのは人それぞれの感覚があるから本当に難しいのですが、、 ストーリー性・背景をしっかり伝え、そしてどれだけ応援してもらえてファンになってもらえるかがとても大事だと思っています。工房が牛舎の横に隣接しているので、お客さんはうんちからおしっこまで見えて、臭いも有りますが、赤ちゃんの出産現場に遭遇できるかもしれません。 スーパーにいけば当たり前の様に牛乳がありますが、牛たちも人間と同じ哺乳類で、妊娠して赤ちゃんが産まれる、そして赤ちゃんが産まれた時だけ赤ちゃんの為にお乳が出てくる、そしてそれを分けてもらっているという事、それがどういう形で商品になっているのか背景を知ってほしい。その上で美味しいと思ってもらえたら嬉しいです。 特に子供たちに伝えたいという想いがあり、地域の小学生向けに見学を実施しています。



Q.牛に名前をつけているそうですね

ストーリー性もあって、愛着をもって育てたいということから名付けました。出産に立ち会ったスタッフが命名しています。昨年産まれた牛がいるのですが、母牛の名前が「フランシス」、一頭目に産まれた牛の名前は「エッフェル」なので、その時産まれた牛は「ルーブル」になりました。


Q.ローカルの面白さというのはどんな部分だと感じておられますか?

人との繋がりですね。久美浜や城崎温泉など北近畿の生産者さんやシェフの方は面白い人が沢山いて、同じ様に地元の魅力に気づき、コミュニティの輪がどんどん広がっています。国内外からの移住者も増えてきていて、多様な人がいます。東京など都会には魅力的な方は沢山いらっしゃいますが、ローカルならではの繋がりの濃さが面白いです。


Q.濃厚でみずみずしく柔らかいモッツァレラチーズに驚きました!どの様にして誕生したのですか?

2005年から作り始めたのですが、モッツァレラチーズは誰もが食べた事があり、イタリア産のものが美味しいイメージがあるから国産のものが美味しいというイメージを作るのは難しいです。世界中で作られているポピュラーなチーズなので、作り方は変えられない。オリジナリティを出すには「久美浜という土地の風土をいかに活かすか、商品に久美浜のことを組み込めるか」だと思っています。一番の特徴としては牛を自分たちで飼っていること。朝搾りたての牛乳をすぐにチーズに仕込めるのでフード・マイレージ(食料の輸送距離 )が短いです。他には、四季があって牛乳の味が季節ごとに変わるのも面白いです。久美浜の風土に寄り添うチーズを作っていきたいです。


Q.「フロマージュ デュ くみはま」について教えて下さい

うちの代表的な売れ筋商品、そのままの状態で食べられるカマンベールのようなチーズです。数年前に開催されたフランスのチーズ職人講師を務める研修に、昔からチーズ造りを率先していた母が参加しました。ジャージー牛に合うチーズを尋ねた所「フランスのサンフェリシアンのチーズが合う」と教えてもらい、母が「最後にこのチーズを開発したい」と取り組み誕生しました。オリジナリティを出すため、久美浜の風景がイメージ出来る様な名前にしましたが、実は牛を飼う父「まもる」とチーズを造る母「ふみこ」から誕生したチーズとして「まもる&ふみこ」というサブタイトルも付いています。今ではお店の一番のおすすめになっています。


Q.循環農業に取り組まれているとの事ですが、具体的にはどの様な事をやっているのですか?

牛から排泄される糞と尿を微生物の力で堆肥(醗酵堆肥)にし、近所の農家さんに使ってもらったり、牧場の中の畑に使用し、野菜を工房のレストランで販売しています。 また人の循環もあります。高校生のアルバイトを積極的に受け入れているのですが、卒業後に都会で働いた後、Uターンで戻ってきて就職出来る体制を整えています。 その他、牧場の全体の電力に太陽光を導入したり、*パーマネントカルチャーに取り組んでいます。

*パーマネントカルチャー…衣食住すべてにわたって、自然との調和と共生をめざし、有機的で持続可能なデザインを自らの手で生み出すこと


Q.今後の展開、目指す姿は有りますか?

沢山作って沢山売るよりも、小さい規模でも良いものだけを作る牧場、個性・芯のある商品作りが出来たら良いと思っています。日本の人にはうちの商品に限らず国産のチーズを沢山食べて欲しい。その土地ならではの乳製品が食卓に並び、食べ比べる文化を作りたいと思います。

牛のことを第一に考え、牛にやさしく自然な育て方をしている「ミルク工房そら」。 朝、搾りたてのジャージー牛乳から一つ一つ丁寧に愛情こめて作られるチーズを口にふくめば、笑顔が溢れること間違いなしです。ぜひおうちで楽しんでみてください。



【基本情報】 ミルク工房そら URL:https://tango-jersey.co.jp/shop/catalog/2227/ 住所:京都府京丹後市久美浜町神崎411

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